多様な体験デザインの視点の重要性 – Spectrum Tokyo Festival 2024登壇レポート

多様な体験デザインの視点の重要性 – Spectrum Tokyo Festival 2024登壇レポート
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読了時間: 約 5 分

こんにちは、ネオマデザイン代表取締役の河野です。

2024年12月8日、Spectrum Tokyo が主催する「Spectrum Tokyo Festival 2024」に登壇しました。Spectrum Tokyoはデザインザインの多様性をテーマにしたデザインコミュニティ・デジタルデザインマガジンであり、私もコラムニストとして寄稿しています。

今回のブログでは、私の登壇テーマで伝えきれなかったポイントを補足してお届けします。

なお、当日の登壇資料やレポートは公式サイト Spectrum Tokyo Festival 2024 登壇資料・レポートまとめにて公開されていますので、ぜひご覧ください。他の登壇者のテーマもとても興味深い内容ばかりです!

登壇資料・レポートまとめ

プレゼンテーマと背景

私の発表テーマは、

「日本の体験デザインは世界に通用するのか?敗北なのか? バイアスを超えた視点で捉える体験デザイン」

このテーマの背景には、Spectrum Tokyo にて私が執筆したコラム “日本の情報過多なデザインは本当に「デザインの敗北」なのか” があります。

日本の公共空間の案内や広告(映画ポスター、リモコンなど)に見られる「情報量の多さ」は、海外と比較するとたびたび議論の的となりますが、私はこれを「デザインの敗北」と結論づけるべきではないと考えています。むしろ、そこには文化的背景や価値観の違いがあり、より広い視点と軸で捉え直すことが重要だと感じています。

空間美や歴史など個人の価値 (UX: User Experience) だけでなく社会的な体験価値 (SX:Social Experience) を優先する野か、空間一つとっても国、エリアで様々です。どちらが良い悪い、を一言では言えないのです。

ご興味がある方は、ぜひ登壇資料と共にコラムも合わせて読んで頂ければ幸いです。

プレゼンで伝えたかった3つのこと

1. 日本の体験デザインが劣っているわけではない

日本のデザイン・体験デザインが海外と単純に優劣付けすることはできません。国やエリアなどによって、それぞれの文化、歴史、宗教など様々な要素が絡み合った価値優先度に基づいて善し悪しの評価がされているだけ、ともいえます。あくまでも局所的(ローカル)な最適価値であって、視野を広げると更に最適な値がある大域(グローバル)的な最適解が見つかる可能性があります。

2. 常識や固定観念を疑う

自分の「常識」が実はバイアスによるものだと気づかず、普遍的な体験価値だと思い込むのは非常に危険です。過去、ソニーでグローバル向けにUIUXをデザインを長年してきた経験からも、国や地域ごとに体験価値の優先順位が異なることを強く感じました。グローバルな視点、広い視点をもつことでバイアスに気がつく事ができるでしょう。

3. バイアスを超えた視点と行動の重要性

気付きと多様な視点を持ち、固定観念にとらわれない行動こそが、体験価値デザインを進化させるカギになります。20年以上前、先輩に言われた「既存の手法や常識に囚われていては、新しい価値やカルチャーを生み出せない」という言葉が、今でも私の指針になっています。基礎や鉄板的なスキームを軽視しろというのではなく、そこから脱皮できるかも、新しい体験づくりには重要なのです。

まとめ

私たちは、新しい価値を創り出すために自由な視点を持ち、多様なカルチャーをデザインに取り入れる必要があります。決して「日本のデザインは劣っている」と考えるのではなく、その背景にある価値観や文化を理解し、バイアスを超えた視点で体験価値を考えていきましょう。

当日のスライドや資料は公式サイトにアップされていますので、ぜひご覧ください!
登壇資料・レポートまとめ

後書き
イベントを通じて改めて感じたのは、本フェスティバル主催者の三瓶さんが語った「対話と出会いの中にこそ学びがある」という言葉の深さです。このような機会を通じて、より良い体験価値デザインを皆様と創り上げていけたらと思っております。



Michinari Kohno

Neoma Design CEO, New Business Coordinator, UIUX Designer, Beyond Experience Creator/Director