自然に見える不自然を見つけ出そう 〜音声UI/UX講演 より 〜

自然に見える不自然を見つけ出そう 〜音声UI/UX講演 より 〜

2018年、スマートスピーカーが次々と発表され、様々なIoT機器やサービスがスマートスピーカーに対応し始めました。「車と話そう」というキャッチコピーで音声UI(VoiceUI:VUI)を自動車に積極的に採用しはじめたメーカーも出てきました(メルセデス・ベンツの新型AクラスのMBUXなど)。

とにかく今年はAI(人工知能)に次いで、音声UI/UXに関しては非常にメーカーもユーザーも注目度が高いと感じます。そんな流れにちょうどのっかるように7月には拙書「音声に未来はあるか?」も発売させて頂いたこともあり、音声UI/UXに関わる相談が非常に増えてきました。

そんな中、以前から弊社と何度か一緒にお仕事をさせて頂いたNTTテクノクロス株式会社様より音声UI/UXに関する講演のお声掛けがあり登壇してきました。

音声UXデザイン中心の内容

営業、企画、UXデザインなど色々な部署から50名弱参加頂くことがわかったので、内容をあまり技術的な難しい内容にせず、分かりやすく音声UI/UXの特徴と課題を説明しました。基本的には拙書の内容に沿ったものでが、それだとすでに読んで頂いた方には既知事項になってしまいます。よって、『音声UXデザイン』がなぜ今必要なのかを講演通じて感じて(考えて)もらえるような内容にしました。

音声UIには他のインターフェースにはない多くのメリットや特徴が存在しますが、一方で技術的にも多くの課題がまだ存在します。言語や国の文化に非常に密接し影響されるインターフェースは恐らくこれまでなかったと思います。それだけに、単純にエンジニア的に追い込んでも、他のインターフェースの置き換えをしてもだめなのです。ソフトバンクの Pepper が3年の法人契約更新時期にきて8割超の企業が更新しないと答えているそうです(日経XTECH記事より)。そういえば、Pepper 最近あまりみかけませんね。みかけても下向いたまま、なんだか誰も相手にしてくれなくて寂しげです。これはなぜでしょうか?その答えの一つは私の講演を聞いた方なら想像つくはずです。

「プレイリストをかけて!」は自然なのか?

講演時間は90分でしたが、この90分という時間は人が集中できるという時間を遥かに超えていますので、途中途中に動画をつかったケーススタディを行いました。このケーススタディを行うとスマートスピーカーや音声UIを使ったCMを今までとはかなり違う視点で見てしまう症状が必ず起こります…

ひとつネタ晴らしをしましょう。

とあるスマートスピーカーのCMの中で(○○の中はウェイクワードがはいっていますが商品がわかるので伏せておきます)

「○○○○○!ワークアウトプレイリストをかけて!」

というシーンがあるのですが、ここで「えっ?」って疑問がおこった人は音声UXを理解しています。

皆さん、スマートスピーカーのCMや音声UIをつかった車や家電のユースケース動画を見ると「凄い世の中になったなー」「そんな事もできるのか」と感心するのですが、ちょっと待った。UXデザイナとしてもその感想も非常に大事ですが、ほんとうにそれがリアルの体験になっているのか、と様々な視点で観察することが大事です。

動画では俳優が絶妙な滑舌で一息で「○○○○○!ワークアウトプレイリストをかけて!」と言い切ります。よくぞ噛まずに言えたね!そう思いました。そう、こんな綺麗に、はっきりと言うのは我々は日常生活ではありません。「えーと、ワークアウトのリスト、かけて!」とかになるでしょう。

この一言、たった一言ですが落とし穴があります。普段言わない文言で指示している、そして、それも噛まずにはっきりと伝えている。これは別の見方をすると、ユーザー側に「しっかりと滑舌良くこのようにしゃべってください」と強いているのです。しかし、実際はこんな舌が絡まりそうな言い方はしませんし、したくありません。英語なら問題ないかもしれませんが日本語では違和感のあるシーンです。
このように自然に見えるシーン(ユースケース)も良く考えるとおかしい、不自然な体験がそこに潜んでいることがあります。

と、言い出すと重箱の隅をつつく話になってきますが、こういうCMによって妙な誤解を生んでしまい、それが期待と落胆を生んでいるのだとしたらそれは問題だと考えます。

講演依頼募集中です

ここで講演全部の説明は多過ぎてできません。拙書の内容以外にもいくつか最新の情報を含めて話しをしています。8月にはマルチメディア推進フォーラムでも講演を行いましたが、Natural UI (ジェスチャ、音声等)の歴史から紐解く事もできます。ぜひ興味ある方はお声掛けください。

講演や登壇実績(ポートフォリオより)

(※本記事投稿は、NTTテクノクロス株式会社様の確認及び承諾を得ております)