インタラクティブサイネージ実例から

インタラクティブサイネージ実例から

今回は予告通りインタラクティブサイネージの事例をあげて説明してみましょう。長文です。

2011年末、前職でのことですが、「世界戦略:ロサンジェルス決戦」(原題:Battle Los Angeles) という映画のパッケージ販促用サイネージの企画提案から実装運用までをやりました。ちなみにこの映画、観たことない人は「地球にエイリアンがやってきて人類が一致団結して倒す」と思ってください…

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当時は、スマフォのカメラを使ったARアプリがちょうど出始めたころでした。カードに書かれたQRコードや雑誌に印刷されたマーカーを事前にダウンロードしたアプリを起動すると、キャラクタが飛び出してきたり、特別な動画が見えたりするものです。

そんな背景もあり、クライアントからも同じようなスマフォアプリでどうか打診がありましたが、それらの案は全て却下しました。その理由はいくつかあります。

まず、専用アプリをダウンロードしてからじゃないと体験できないようなものはサイネージとしては成り立ちません。もちろん、超ビックタイトルでコアなファンがいるような映画、たとえば、スターウォーズとかなら大丈夫でしょうが、初モノではなかなか難しいです。当時、映画の客員導入数を聞いて、その程度の映画(失礼!)では、アプリダウンロードまで絶対リーチしません、と言い放ちました。

次に今回の目的はDVD/BDパッケージ販促であることから、その販促物があるところでやることに意義があると思いました。すでに渋谷ツタヤで販促することも聞いてました。スクランブル交差点のツタヤに行く客層を考えてみてください。10〜20代の若者が多く、それもあそこは待ち合わせなどに良く使われる場所です。女性も多く、この映画のターゲットとはやや異なる層も多いとも思えます。

このような場所では、インパクトが大事です。短い時間にどれだけ人を呼び寄せて印象に残ってもらうか。若い人は新しいモノに非常に敏感ですし、オンリーワンに反応します。ここだけしかない、が大事です。
面白いモノ/コトがあれば、写真にとったりツイートしてすぐにバズってくれます。ここを狙うべきだと思いました。

そうなると、アプリダウンロードではなく、据置きになります。

インタラクティブサイネージとしていくつか案を考えましたが、せっかくソニーにマーカーレスAR技術があるのだから販促したいモノ、そう、パッケージそのものを持たせて遊ばせればいいんだと考えました。現地にはパッケージがいくらでもありますし、サンプルなので盗難されてもさほど痛くありません。

パッケージをもってモニタの前で遊んでいたらきっとやじ馬のように集まるのではないかと考えました。実際、実装しているときにテストしていると職場のエンジニアが何やってるの、と見事に釣られてきました。

スマフォやタブレットを常設しておいて店頭でやればダウンロードの手間はぶけていいよね、という声もききます。しかし、盗難やいたずら(設定を変更されたり)などの問題があり、誰かオペレータなり監視をつけないといけない事が多々あります。

今回は予算的にも設置場所の制約からもそれは無理だと分かっていたので、CD/DVD販売と同じような販促台を使うことにしました。

肝心のサイネージの中身ですが、単純に映画の世界の仮想体験にしてしまいました。つまり、エイリアンをユーザが倒すのです。実際、映画の中でも各国でエイリアンと戦うシーンがあるので、そのまま「渋谷に現れたエイリアンを倒してくれ!」という設定にしました。

ここまで来るとあとはお得意のエンタメ演出になるので、ゲームのように作っていきました。一人の人が長い間遊ばないよう時間制限をかけたり、写真を撮る事を想定してのエンディング画面にしたり、と盛っていきました。リアル間をだすために、エイリアンやUFOなどは映画で使ったCGデータその物を使いました(もちろん、そのままではパフォーマンスがでないので、ポリゴン数などは落としています)。

ちょっとひっぱりましたが、実際の動画をご覧ください。

結果としてはかなりの稼働率でした。
クリスマスから年始という時期も手伝ってか日中から夜遅くまでほとんど誰かが遊んでくれています。ツィートなども当時としてはそこそこありました。意外にもこの手のサイネージには女性が反応し遊んでくれることやご老人も孫につられてなのか遊んでくれました。

ただ、どれくらいパッケージ販売に寄与したか、という効果測定方法を入れてなかったため、分かりません。クライアント側からは非常に評判が良かったので次のタイトルでもぜひ、と報告を受けたのでやった成果はあったのでしょう。

さて、良いことばかり述べていますが、このインタラクティブARサイネージ、欠点も色々あります。この映画特化に作ってしまったので、汎用性が全くありません。もちろん、出てくるエイリアンなどの素材を替えれば別の映画とかにも対応できると思いますが、単純なためちょっと工夫しないとすぐに飽きられるでしょう。

また大人の事情も合ってネットとの連動まで手が回りませんでした。
本来はネット上のコンテンツと連携したコンテンツとしたかったのです。

UI/UX面でも今見ると詰めが甘いところもありますが、UX前提で考えた方法としては評判良く色々自分の仮説を裏付けできる良い検証にもなりました。

今だと、HTML5でかなりリッチなインタラクティブなアプリが作れます。
プラットフォーム非依存性、配信容易性、ネットとの親和性の良さ、開発の容易さ(手軽さ)などでサイネージとの相性もいいかなと思っています。