UX JAM #13 LTに登壇してUXを語る

UX JAM #13 LTに登壇してUXを語る

こんにちは、ネオマデザイン代表取締役の河野です。

先日、UX JAM #13 のLT(ライトニングトーク)に登壇してきました。

UX JAM は、UX MILK主催のUX(User eXperience ユーザー体験)を題材にした「ゆるい」勉強会/交流会、とオフィシャルには書かれています。座談会というよりは軽く食事とかしながら参加者同士で気軽にUXについて話し合う場で、実際初めて参加しましたが、非常に楽しくディスカッションできました。

「世界規模で体験をデザインする -PS4のUI開発や空間UXデザインの経験」

たいそうなタイトルにしたのは良いものの、時間が5分しかなくて、結局はPS4の音声UIの触りとソニー時代からやっていたUI/UXアクティビティから得られた知見をさらっと伝えるだけに終わりました。それでも後から後からもっと聞きたい、どこかでセミナーとかやらないんですか、とお声掛け頂いて感謝です。他のLTの話しも非常に面白く、また参加者のUXに関する熱意が高く改めてUXとはなんだ、と考えさせられる良い機会でした。

さて、ここでは時間なくて言えなかった事と質問された事をそれぞれ一つ抜き出して説明します。他にも言いたい事はあるのですが、それは次回に。

UXを広く捉えよう

UXは、UIやインタラクションデザインの思想から出てきた概念なので、どうしてもIT分野、それもスマートフォンアプリ(ゲーム含む)やWebサイト(ネットサービス含む)中心です。それを否定する気はないのですが、ユーザー体験というのは別にIT機器と人間との間だけではないはずです。今、日本でUXデザイナという肩書きを名刺に書いてる人の恐らく大半は、上記分野の中でしか活動してないのではないでしょうか?実際、UX経験者募集、なんて書いてある人材募集元はほぼ確実にIT企業のみです。

しかし、私はもっとUXを広く捉えています。
例えば、いま空間と人間のUXデザインに興味がありますが、これは建築だったりそこを流れる時間や通り過ぎる人とか社会と人との体験なんかも含めて考えます。人間対人間も含みますので、会社/従業員/お客さんそれぞれの体験が最高になるようにサービスや経営を最適化する、ここにもUX的視点は使えます。

以前のブログ『UXは万能の魔法の杖ではない』でも記載しましたが、Erik Flowers氏はTreatise on User Experience Design: Part 1の中でUXが関わる領域として3つの分野をあげています。

Treatise on User Experience Design

また、UXデザイナー Corey Sternは、コンテンツ(Content)・ユーザーゴール(User Goals)・ビジネスゴール(Business Goals)・インタラクション(Interaction) の分野から整理して頭文字をとったCUBIモデルを提唱しています。

cubi_ux_user_experience_model

 

このように、海外では広義で捉えることもあり、UXまたはUXデザインをITやアプリの話しだと思っている人は広い視野でUXを捉えてもよいのではないでしょうか?

残念ながら日本ではまだまだWebサイトにしかり書籍にしかりUXというと対象がアプリやWebサイトなどIT分野が多いのが現状です。しかし、万能ではないとはいえ、ユーザー体験の対象はITだけではないのです。経営、環境、人事…多岐に及びます。

講演によっては私はUXという言葉を使わずに「体験デザイン」とあえて日本語にすることもあります。これはITの話しと誤解されないためです….

UXの勉強はどうすればいいのか?

これは良く聞かれる割には、一言では答えるには難しい質問です。
UXというたった二文字の言葉ですが、100のUIまたはサービスアプリがあったら、そこにはそれぞれ100通りのUX視点をもって対応しないといけないと考えています。UXはある側面では汎用的ですが実はターゲットや分野に依存するところも多いのです。

UXまたはUXデザインにはどんな技術分野がかかわっているか下図のように整理した人もいます(これは一例です)。

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これはあくまでも狭義のUX、IT分野でのUXですがこんなにも関係する技術があります。私は幸い、ソニー時代に色々な職場や研究所に勤務したこともあり、ほぼ全部をざっと網羅する感じで勉強できました。しかし普通はそんなに幅広く携わるのは稀かと思います。

日本で手に入るUXと名前の付く本は、狭義のUXか基本概念とスキーム(手法)が記載されています。基本知識として読むのは全然良いのですが、実践で役に立つか、といわれるとやや疑問視しています。あくまでもそれは公式だったりあるケースに限っての定石しかないからです。

じゃあ何をすればいいのか?

“何に対しても疑問を感じ、違和感を敏感に察するセンスを磨く”

こういうと皆さんキョトンとしますが、難しい話ではないのです。

例えば、UX JAMの会場に入った時に私はいくつかの疑問を感じました。

・あの時計はなんでスクリーンの左側においてあるのだろう、右側じゃだめなのかな?
・案内の紙が貼ってあったけど、この高さは何を基準にはったのかな?感覚?
・ご自由に歓談してください、っていったときの一瞬後ろに下がる人がいた心理はなんだろう?

とか言い出すと切りがありませんが、すべて普通の人からすると「何でそれ気になるの?」という事ばかりです。しかし、これが大事だと思うのです。私はその疑問から色々仮定を打ち立てて行きます。人間の視認性良い高さは、ゴールデンゾーンっていって90〜140cmぐらいだったよな、とか。結果として何か答えはでない時が多いのですが、

“ユーザーが普通に違和感なく感じる体験を、なぜ普通に感じてしまったのか深堀する癖をつける”

これが大事なアクティビティだと思います。素晴らしいUXのもとになりたっているサービスやUIは、実はその裏で非常に時間かけて苦労して開発した結果だったりするのに、実際に体験している人にとっては、普通に感じてしまっている可能性があります。人間というのはネガティブな方に敏感に反応する動物です。

当然、生活している時の不平/不満/不平等といったネガティブな体験を「なぜ?」と深堀するのも重要です。アイデアはそこから生まれることも多いのです。

ディズニーランドでは、お店に入ると「こんにちわ!」と声かけてきます。私はすぐに「あれ、いらっしゃいませ」って言ってないなぁ、と疑問に思いました。それぐらい違和感を察するセンサーが身についてしまっています。ヒューマンウォッチングもトレーニングになります。なぜそこにこの人たちはこの時間にいて、と考えていきます。

違和感や疑問の答えはでなくてもいいんです。
実際に仕事の中では、チームで疑問や違和感をシェアして皆で解いていけばいいのですから。ただ、だれかがその一石を投げないと一生気がつかれずに罠にはまってしまう可能性があります。

よくUXやるなら色んな事を体験しろ、といいます。間違っていません。私もいいます。でも、体験しっぱなしではダメ、ということです。疑問/違和感含めて理解しての体験が糧になります。

まとめ

UX=IT分野の万能の魔法、ではないし視野を広げた広義のUXもあります、ということ言いたかったのですが、説教臭くなるので事例含めて発表しました。もしかしたら、いくつかの話しには異論をもったUXデザイナさんもいると思います。私の後のLTでどきっとする内容がありましたが、なんだ同じ事みんな考えいるんだ、と安心しました。

今回の内容は、以前のブログ『UXは万能の魔法の杖ではない』とも似ているので、興味ある方はぜひ読んでみてください。

機会があれば大手ではペルソナうんぬんの話(参加者しかわからないネタですみません)も書いてみようと思います。