UXを考える上での落とし穴 Part-1

Studio portrait of woman standing under chalk cloud

先日、デジタルサイネージジャパンにて “最新施設に次々に導入される”案内するサイネージ”の可能性をUXのプロ達と考える” にて登壇させて頂きました。

このセッションの最後に各パネリストからお持ち帰りネタを出しました。

私は、「UX(User Experience:顧客体験)を考える上での落とし穴」として、2つほど話をしました。これについて補足したいと思います。

UXの落とし穴 (DSJ2015)

『業界やサービス提供側の常識や意見≠ユーザーの常識や意見』、ということです。
フランスの哲学者ヴォルテールの有名な言葉 “一般常識なるものは、それほど一般的ではない。(Common sense is not so common)” というのがあります。まさにこの言葉の通りです。

これがなぜUXと繋がるか。UXを考えていく時の落とし穴になる時があるのです。

気がつくと「当たり前」になっているコトってありませんか?
恐らく、皆さんは、ある業界のプロで仕事をしていると思います。その中で、体に染みついてしまっているがために、「当たり前」になってしまっていることや理論・理屈・常識があるはずです。

知らないというのは、いわばゼロの状態です。一度知ってしまうとゼロの状態を考える、思い起こすことは実は難しいことです。

車のアクセルとブレーキの配置を免許を持っている人は当然ながら分かっています。しかし、免許をもってない人には知らない人も多いでしょう。(ゲームなどで子供でもさすがに分かっているとは思いますが)
そういう人にとっては、右側にアクセル、左側にブレーキというのは初のUIであり、そこで得られる体験や感覚は毎日運転している人とはちがうものが出てくると思います。

デジタルサイネージで考えてみます。

昨今、タッチパネル式のデジタルサイネージが非常に増えてきました。ピンチイン/ピンチアウト/スワイプといった独特のUI動作がタッチパネルにはあります。スマフォやタブレットを使っている人にはおなじみの動作ですが、実はまだまだ浸透しているとは言い難い状態です。

「今や子供からご老人までスマフォをつかっているのに」と驚かれると思いますが、これらの動作を使わなくてもスマフォは使えます。それに、スマフォを持っていても電話とメールだけしか使わない人も沢山います。いわゆるガラケー派も日本にはまだまだ多いです。

ですから、ピンチイン/アウトを前提にして万人向けのサイネージをつくるのは危険です。

IT業界に居る人間は、「いまは皆がスマフォを持ってメールやLINEでコミュニケーションをしている。スケジュール管理は Google カレンダーでやり、写真はクラウドで管理している」と想像しがちです。そしてそれがITのUXとして最適だと勘違いしています。しかし、実際は、ここ数年手書き手帳が爆発的に売れていたり、容量がふえたことにより写真管理もスマフォ内で完結する人もいます。

つまり、あるサービスや商品を考えていく時に、その業界関係者や知見者だけでUXを考えると偏ってしまう=落とし穴がある、ということです。

客観的に考えているつもりでも、知っていることでバイアスがかかってるのを忘れてしまいがちです。

ユーザビリティテストを行う場合、『業界とは関係ない一般人を入れましょう』と言われるのはそのためです。もちろん、『非常識が新しい常識になる』という言葉もありますので、あくまでも加減は必要です。

良く考えると、3D対応テレビなんてのも業界先走りでUXをあまり考えなかった良い例じゃないかと私は考えています。

次回は、もう一つのお題の『ユーザは何が問題でどうすればいいか、何がいいかを実はわかっていない』を補足します。